国東半島山ガイド
四方山話その17  伊美山頂と三角点


ガイド本掲載No.17「伊美山」は、山頂と三角点の位置が違う山である。
 まだ、筆者が20代の頃、会では毎年3月に一般参加者を募って国東半島一斉登山という行事を実施していた。そのとき何度か「伊美山」の担当になって登ったが、山頂より先に三角点があるんだと(当時は藪がひどくて行かなかった)地図を見て思ったことが、なぜか記憶に残っている。
 山頂とは、新明解国語辞典では『山のいただき。』となっている。「いただき」とは、『「頭部・頂上」の和語的表現』。さらに「頂上」とは、『山の上の最高所』とある。つまり、山頂とは山の最高地点である。
 実は、私が会の伊美山山頂標識を設置するまで、伊美山の標識は三角点に設置されていた(今もあるが)。地理院地図で明らかなように、三角点496.6mより地図では516mとなっている西側のピークの方が高いので、こちらが伊美山山頂である。地図でも伊美山の表記はそこにある。しかも、三角点名は「赤根」であるので、三角点の標識が三角点名だとしても設置した方には申し訳ないが間違っている。
 この近くの山は山頂と三角点の位置が違う山が多い。「黒木山」「狩場山」「清水畑」「峠」などであるが、実は皆さん気づいてない方も多いと思われるが、「中山仙境」もそうなのである。高城と呼ばれる三角点は316.8mであるが、そこから馬の背を渡って隠れ洞に下る手前の稜線から見える南側のピ-クは見た目でも高いが320mの等高線が引かれている。とすれば、こちらのピークが山頂である。ただこのピークは断崖絶壁でザイルなしでは登れそうにない。
 では、なぜあえて山頂から少しずらして三角点を設置したのか。国土地理院に電話して聞いてみたら、「三角点はあくまで測量する上で展望の良いところに設置しているだけで必ずしも山頂とは限らない。山頂に三角点が多いのは一般的に展望がよいから」ということである。もっともだ。
 さて、「伊美山」に戻ると、伊美山の登山ルートは今では豊後高田市の黒土側からが一般的になっているが、前述の一斉登山の時代は赤根側から登った記憶があった。従来のそのルートがずっと気になっていたが、登山口の記憶が今ひとつだった。地理院地図には、赤根から伊美山の肩を通って東狩場に抜ける旧道が記されているが、地図の入り口は藪になっている。
 しかしある時、その先にある橋を抜けると右手の旧道の谷に作業道が通っているのがわかり、車で行けるところまでいくと治山ダムの作業現場に行き着いた。その突き当たりから左手の斜面にダムを高巻くように道らしきものがあったので、後日それを辿ることにした。
 これまた、製作作業が押し迫った時期に、峠道の痕跡のような獣道のような谷筋の道を赤テ-プを付けながら上り詰めると、ちょうど狩場山からの縦走路で、伊美山とミイケヒラの鞍部に出る巻道の手前に出た。
 その後、この道を確認してもらったS藤h氏からややわかりにくい箇所もあるので「この道を掲載するのはどうだろうか」と疑問の声を投げかけられたが、そもそもの伊美山登山道を掲載しないわけにはいかないだろうとその他ルートとして掲載することにした。そして、狩場山から伊美山までの縦走ルートも掲載し、ミイケヒラと併せてガイド本唯一の3山見開き概念図へとこれまた駆け込みの大変更となった。

地理院地図:伊美山周辺
三角点にある標識。オレンジプレ-ト標識は、まだ三角点と書いてあるから良いが、なぜ、山頂に設置していないかが不思議
2015年2月14日に設置した会の山頂標識
2017年10月1日既に木からずり落ちていたので赤テ-プで補強
最近のYamapの記録より拝借:さらにずり落ちていて、どなたかが石で固定してくれている。ただ、標識そのものはまだ朽ちていない。
中山仙境高城周辺の地理院地図。尾根の南東末端のピークがやや高いのがわかる。
北夷耶馬から見た中山仙境。左端の岩峰がこの稜線での最高所である。
地理院地図:旧道ルート
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